カンポンボーイ（ＫＢ）の

果物歳時記 アジア編

2022年4月25日、5月7日修正
日本語キャラボク、キャラ、伽羅木
英名dwarf japanese yew

韓国語눈주목

学名Taxus cuspidata Siebold et Zucc.
var.nana Hort.ex Rehder

科名イチイ科（Taxaceae)
属名イチイ属（Taxus)

名前の由来
　 材がキャラの香りに似ているからキャラボクという名前がついたということです。
学名が長いわけ
　二名法による学名は属名と種小名（種の特徴を表す短い言葉）を組み合わせたラテン語表記が基本です。しかし、これに学名を付けて最初に発表した人の名前がついたり、種より下位の分類の説明がついたもっと長い学名が多くあります。
イチイの場合　Taxus cuspidata Siebold et Zucc.
　Taxus（イチイ属）に尖ったという意味の（cuspidata）がついています。 最後に命名者 SieboldとZucc.の二人の名前がetで繋がってついています。etは及びで英語のandにあたります。二人が連名で命名して発表したというわけです。
シーボルトは江戸時代に長崎に来た医者で植物学者、Zucc.はシーボルトとともに日本の植物を研究した植物学者J.G.Zuccarini ツッカリーニで、Zucc.は植物の命名者を示す場合の彼の略称です。
キャラボクの場合　Taxus cuspidata Siebold et Zucc.var.nana Hort.ex Rehder
　イチイの変種ということで学名の前半はイチイと同じですが、変異の特徴を説明する言葉と命名者名、var.nana Hort.ex Rehderがついています。
var.はvarietas（変化する）を省略した形です。変化の内容はnanaで小さいという意味です。小型に変化したというわけです。
Hort.は庭園栽培のという意味のラテン語hortensisの省略表記です。 庭園で栽培されている植物で名前はあるが、まだ学術的に正式発表されていない場合に命名者名を記すところにHort.と書きます。
Rehderは（アルフレッド・レーダー Alfred Rehder）アメリカの植物学者です
exは前のということで、exの前に書いてある植物を改めて研究して学術的発表した人の前につけます。
キャラボクの場合はまだ正式名が無くてHort.になっているイチイの園芸種をレーダーが改めて研究して小型に変異したイチイと言う意味の名前を付けて正式に発表したというわけです。

日本の固有のイチイの変種
　イチイは日本をはじめ東アジアに分布しますがキャラボクは日本の固有種で、分布は本州の東北地方から北陸地方、中国地方の山口にかけての日本海側と、本州中部の亜高山帯に自然分布しています。イチイよりも分布範囲は狭いです。
雌雄異株や、有毒成分、抗がん成分を含むこと仮種皮が透き通るような紅色に熟す実をつけることはイチイと同様です。
学名にnana（背が低い）とあるようにキャラボクはイチイに比べて、背が低、幹立ちしないで地面を這うように枝を広げて育ちます。

葉はイチイが平面状的につくのに対して螺旋状に密につきます。
生育が遅くて、寒さにも強くまた日陰でも育ち、剪定にも強いので庭木や垣根に使われます。寒い地方では冬に葉が茶色く枯れたようになりますが、翌年には緑色に戻ります。 都市の暑さにも強いので庭木としてはイチイよりも広く用いられているようです。
公園の植栽では刈り込んで動物などを立体的造形に仕立てるトピアリーを作ることがあります。











　花は葉の脇につき、雄花は壺状で茶色で大きくなった多数の葯があふれ出て目立ちますが、雌花は卵型で鱗片に囲まれていて小さくて目立たないです。
果実は球形でお椀のような仮種皮の中に卵状の種子を一つ入れています。 仮種皮は透き通るような紅色に熟します。仮種皮はほのかに甘くヌルヌルして食べられますが、毒があるという種子を噛むと苦い味がします。




天然記念物
　鳥取県西伯郡大山町の伯耆大山（標高1,709m）の山頂付近に自生するキャラボクは日本の分布の南西端にあるもので、ダイセンキャラボクとよばれています。八合目付近のダイセンキャラボクの純林は1952年に特別天然記念物指定されて保護されています。
鳥取県と鳥取県大山町はダイセンキャラボクを県の木、町のシンボルツリーとしています。

キャラノキの園芸品種
　オウゴンキャラという新芽が黄色いキャラノキの園芸品種があります。
新芽から新葉が育つ頃は黄色が目立ちますが、夏を過ぎると黄色は目立たなくなります。
標準和名はオウゴンキャラですが、黄金伽羅木（オウゴンキャラボク）、金伽羅 (キンキャラ)、金芽伽羅木（キンメキャラボク）と呼ばれています。 園芸品種を学名で表す時は'　'で囲って特徴を書きます。オウゴンキャラの場合　
　 学名　Taxus cuspidata ver.nana 'Aurescens'
　　'Aurescens'は金色になっているの意味です。


庭園樹
低く刈りこんで園地の区画わけとしたり、大きな木の根元に植えたり、垣根によく使われます。

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