サチャインチ 
2019年4月20日、8月8日修正 日本語  サチャインチブラジル語 ticazo、maní del monte、maní del incaスペイン語 sacha inchi、mani jibaro、 sacha mani、mani del incaタイ ถั่วดาวอินคา 中国 美藤果、南美油藤英語 sacha inchi, sacha nut、 inca inchi、mountain peanut学名 Plukenetia volubilis L. トウダイグサ科(Euphorbiaceae) プルケネティア属(Plukenetia)アマゾン地方に広く分布 サチャインチ（sacha inchi）は先住民チャンカ族の言葉で、ティカゾ（ticazo）も先住民の呼び名に由来します。 ペルーのアマゾン側低地からいくらか標高の高い所の雨林に原生しますが、ベネズエラ、エクアドル、コロンビア、ブラジルにかけてのアマゾン地方に分布しています。原生地でも標高2000mくらいでも育ち冬は0度にも耐え、夏の35度の気温、雨は年間1500-2000mmの所で育っています。熱帯でなくても暖かい地方で育ちます。 多年草の枝分かれする蔓で茎は木質化して8mほどまで伸びます。生育は早く1年で開化し結実します。根には根粒を作って窒素固定菌と共生しています。 雌花は複数個集まって咲き、花柱の長さは2cm位、柱頭は6つに割れて径1cm位に広がっていました。子房は星形に6個の突起が見えます。 
果実は、4-6の尖りがある星形です、雌蕊の残骸が下に長く残っています。 果実は熟して枯れて黒くなり開裂した状態でも蔓についていました。未熟の緑色のものは大きさは直径が5cm位、厚さが2.5m位で、雌蕊のあとが長さ2.5cm位ついていました。乾燥したものは種が5個入りで、直径約5cm、厚さ2.5cmで重さは9ｇ位でした。 
開裂した果実を見ると種は5個の区画に1個ずつ見えます。取り出すと厚さ1mm位の硬い筋っぽい殻です。この中に黒い種が入っていて丈夫な種皮は厚さ0.3mmくらいで、その中に白い胚乳がはいっていました。黒い種は25X1.5cmで厚さは5-8mm、重さは1g位でした。 注目されたのは最近 コロンブスが来た時代以前から、各地の先住民は自給用に栽培したり野生のサチャインチの種子から油を搾り食用利用し、種は焼いて食べたり粉にして他の料理に使っていました。葉も野菜とし、あるいはお茶のように飲み物として使っていました。 KBは何かの薬にしているという話はまだ見ていません。 古くから利用されていた証拠としてサチャインチの6角の星形をかたどった壺がインカの古い遺跡から出ています。 アマゾンの自生植物サチャインチから採れるサチャインチの油が、健康に良いとされる不飽和脂肪酸を多く含むという事で、 2004年に注目されたのがきっかけで、健康と美容に効く天然の油として自然食、ヘルシーフード愛好者に広がりました。  不飽和脂肪酸の栄養サチャインチの種子はタンパク質を３０％、脂肪を５０％くらい含みます。 この脂肪にはオメガ6脂肪酸を含むリノール酸を約40％、オメガ3脂肪酸を含むリノレン酸を約５０％含みます。 リノール酸とリノレン酸はヒトの体内では合成されないため食物から摂取する必要があり、必須脂肪酸と言いiます。 これらの必須脂肪酸のうちリノレン酸を多く含む油としてはゴマ油、エゴマ油、アマニ油はがよく知られていますが、これらに比べてもサチャインチの油は必須脂肪酸含量が多く、特徴的なのはリノレン酸の含量が高い事です。 これらの必須脂肪酸は魚類には比較的多いのに対して獣肉、乳製品には少ないので、肉食系の人にとってはコレステロールが少なくて不飽和脂肪酸の多いサチャインチの油がサプリメントとして注目されるのです。 効能書き 必須の不飽和脂肪酸の効用として抗炎症作用、脳の機能をよくする、血液の流れをよくする、美容効果、がん予防効果、高血圧予防効果、放射線防御、アレルギー症の改善、心臓の血管系の疾患予防、免疫機能への関与、コレステロールを下げる、体重減少を助ける、 女性のホルモンの問題の緩和、老化の進行を遅くする、ストレスの緩和、精神的疲労を軽減するとあります。それでサチャインチ油の色々な効能の宣伝文句の元となっています。 サチャインチ油について直接触れた情報ではないですが、ヒトでのリノレン酸の有効性については、食事からの摂取で、心臓血管系疾患を予防することが示唆されています。また食事からの摂取では健康を損なうことは無いとされています。 サチャインチの効用について、今のところは信頼できる成績が無いというところですから、無茶な摂取は控えるのが良いというところでしょう。 KBの思う所、日本人の食習慣から言ってサチャインチ油をサプリメントとして摂って、食事のリノール酸とリノレン酸のバランスを改善するなんて考える事はないと思います。 これからの資源植物か ペルーのアマゾンの農村開発にサチャインチを栽培する試みがあり、中南米でも注目されています。東南アジアではカンボジア、タイで栽培されています。 中国では2009年雲南省の西双版納に導入され化粧品原料、健康食用油資源として注目して生産を始めています。 サチャインチは南米のアマゾン地域だけでなく最近は熱帯アジアでも生産されるようになっています。今後、油に不飽和脂肪酸を多く含む特性を生かして化粧品原料、食用油脂源、薬用原料あるいは工業原料としての利用の研究が進めば、もっと話題になるでしょう。
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